マスタークラスを開催しました
7月25日(金)に藤沢駅近くのSHOW HALLで行った当教室で初めてのマスタークラスについてのレポートです。
ピアニストの松﨑 禅さんとご縁がつながったいきさつについては、コラムのNo.3へ載せました。
ご興味のある方は、ぜひお読みください。
6月以来ずっと異常な暑さに見舞われていますが
この日もやはり、暑い暑い1日でした。
急遽空きを探して予約したサロンでしたので
短い時間しか取れませんでしたが、時間以上に中身の充実した
濃い内容になりました。
快くお引き受けくださった松﨑 禅先生に、心より深く感謝申し上げます。
マスタークラスは、前半の公開レッスンと、後半のミニリサイタルの2本立てで開催いたしました。
公開レッスンの1人目は、この4月から中学生になった壮馬くん。大好きなショパンの作曲したワルツから、7番を弾いてアドヴァイスをいただきました。
曲の終わりまで聴いてくださったあと、先生が壮馬くんに尋ねました。
「この曲はどんな感じ?」
曲から受ける印象はどんなものか、それを演奏することによって人に伝えなければならない・・・そんな言葉からレッスンがスタートしました。
それから次のような内容でレッスンは進んで行きました。
• その曲はいくつのセクションから構成されているのか
• 同じセクションが複数回出てくる時、一度目と二度目でどんなふうに違うのか
• 悲しいのか明るいのか苦しいのか
• 音楽は作曲家が
■どんな意図を持って
■どんな感情で書いたのかをひたすら読み解いて
■表現する
• そのフレーズの山の頂点はどこに来るのか
• 作曲家はどうしてそれ(山の頂点)を指定したのかを考える
・ワルツの3拍子が、悲しみをもって感じられるような弾き方はどうすればより伝わるか
・場面が変わったら、それに合わせて雰囲気を変えるために
できることは?
5分の曲を、45分に渡って熱心にご指導くださいました。
先生のおっしゃることを、一生懸命考えて弾き続けた壮馬くんにも、観客席から暖かい拍手が送られました。
2人目は大人の生徒さんの八重子さんにお願いしました。
グラナドス作曲の、詩的なワルツから数曲弾きました。
こちらも終わりまで聴いていただき、
すでに表現としてはかなり完成されているので、よりプロフェッショナルなアドヴァイスをします、とおっしゃってレッスンが始まりました。
はじめに ペダルのタイムラグについてのアドヴァイスでした。
パスカル・ドゥヴァイヨン先生がおっしゃっていた言葉として、「初めて弾くピアノは、何よりもまずペダルの確認をしましょう。もしリハーサルが無くても、演奏前に必ずペダルを試すこと。」
鍵盤の打鍵と同時にペダルを踏んでしまうと、音が濁りやすいこと。足を上げすぎないこと。
それからは手が小さい八重子さんが、手を拡げなければならないようなパッセージをいかにして練習を進めたらよいか、など懇切丁寧なご指導をしてくださいました。
• 足で拍を取りながら弾く練習(によって、リズムを安定させる)
• 鍵盤をひっかくように弾く(方法もある)
また、たとえがとてもユニークな上に、わかりやすいお話でした。
• ペットボトルの工場(キャップ、ラベル、ボトル)のように、パーツごとに分割して練習する
↓
結果として急がば回れで早く仕上がる
非常に勉強になったご指導のひとつ
・ 全部左手で弾けてしまうフレーズを、あえて両手に割り振ってあるのはグラナドスのどういう意図があるのか
これはまず楽譜から読み取らなければなりません。
それからなぜなのかと考えなければなりません。
非常に素晴らしいレッスンをしてくださいました。
汗だくでの熱演の八重子さんにも拍手喝采。
少しの休憩をはさみ、第2部は先生が演奏をしてくださいました。少し硬く鳴りが甘いピアノでしたが、それでも瞬時にご自分の演奏をされるあたり、まさにプロフェッショナル。
プログラムはこちらの4曲でした。
”バッハ:平均律第一集ト短調
リスト:ペトラルカの104番のソネット
リスト:かろやかに
ドビュッシー:4度のためのエチュード”
バッハから静かに演奏が始まりました。
プレリュードの静けさと、決然としながらもどこか温かみを感じさせるフーガでした。何よりも、平均律の中で私が最も好きな曲のひとつだったのがうれしくて!
ペトラルカのソネットを楽しみに聴きに来てくださった生徒さんもいらっしゃいました。もちろん私もです。
何といってもイタリアですからねw。
それはもう美しい音色で、ドラマチックでブルっと震えました。
「かろやか」は華やかに、鮮やかに。
ドビュッシーのエチュードは、全く難しさを感じさせない演奏でした。どちらも難易度高めのテクニカルな曲ですが、見せつけるようなこともなくお人柄が伝わってくる演奏でした。
最後に、先生への質問が2・3あって、閉会となりました。
初めて先生の演奏を聴いた方々も、一瞬にしてファンになってしまいましたね。
また来年、同じようにマスタークラスが開催できますように。
素晴らしい演奏と、素敵なご縁をいただいたことに感謝するばかりです。