No.4 世界の最前線で磨かれる『本物の音と練習』に触れた、濃密な夏の記録

マスタークラスにて(カノンハウス鎌倉)

本物の音楽が響く場所 — 2年目のマスタークラスを終えて

この夏も昨年に引き続き、松﨑 禅さんのマスタークラスを開催しました。

ゲストは、ジュネーブからの一時帰国、現在もパリ国立高等音楽院修士課程で研鑽を積む若き才能溢れるピアニスト、松﨑 禅先生です。

先生は、この特別な機会を快くお引き受けくださり、私を含め、生徒の皆さん揃って素晴らしい経験を得られました。心から感謝いたします。

忘れられない1週間を振り返ります。

ピアノ室をお貸しした1週間 — リストの音楽にどっぷり浸る時間

日本でのオールリスト・リサイタル前の1週間、今年もありがたいことに我が家のピアノで準備のための練習をしていただき、間近でその演奏・練習を聴くことができました。

朝から夕方まで響く、リストの美しく力強い音色。 私自身も日常の細々とした雑事から少し離れ、禅さんの世界観や圧倒的な音にどっぷりと没頭し、贅沢で豊かな時間を過ごすことができました。

おかしな話ですが、毎日リストと禅さんのピアノに心底浸りすぎて、頭は興奮、体はぐったり……まるで自分が猛練習していたかのような毎日でした(笑)。 また、昨年以上に音楽を中心に多岐にわたるトピックをお話しでき、音楽に対するその真摯な姿勢には大いに感心させられました。

「想像の遥か上を行く練習」への驚きと発見

この期間中に目撃(耳撃!?)した「練習のクオリティ」は、おそらくみなさんの想像の遥か斜め上をいきます。

音色の極限までの追求、構造の解釈など、世界の第一線で学ぶ人の練習がどれほど深く、どれほど緻密か。私にとっても「ここまで突き詰めるのか!」という大きな感銘と新鮮な刺激がありました。

譜読みの早さはもちろん、暗譜のために繰り返し積み重ねるトレーニングも実に効率的。いかにして自分のものにしていくかという行程を何度も確かめながら、常人からすれば考えられないほど丁寧に練り上げていく様子を直に感じることができました。

マスタークラス当日 — 受講生・聴講生を包んだ熱気と絶賛

マスタークラス当日は、適度な緊張感のなか穏やかにレッスンが始まりました。あらゆる言葉を尽くし、手本を見せていただくことで、目の前で受講生の音や表現がみるみるうちに変わっていく様子は本当に素晴らしいものでした。

「美しいとは何か」この問いかけが、今も毎日思い出されます。

聴講生からも、 「受講生の演奏が変わるのがはっきり分かった」 「わかりやすく、でも妥協のない言葉で導かれる様子に鳥肌が立った」 といった絶賛の声が上がりました。

レッスン後にはリストの「ロ短調ソナタ」を演奏していただきましたが、これがまた言葉にならないほど素晴らしかった……! レッスンでの言葉をそのまま裏打ちするような実演に、会場の誰もが圧倒されていました。

一台のピアノの演奏を聴いているはずなのに、まるで交響曲を聴いているかのよう。 天上からキラキラした光が降ってくるような音もあれば、地鳴りのような重い音がお腹まで響いてくる。同じパッセージでも、寸分違わぬレベルまで掘り下げて異なる響きを作り上げる。生き生きと様々な楽器が語りかけ、まるで小宇宙を旅しているかのような錯覚に陥りました。

結び:余韻とこれからのレッスンへ

この夏もこうして一流の、そして意義深い音楽体験をすぐ目の前で共有することができました。 1週間の練習の成果が詰まったリサイタルも(少し遅刻してしまいましたが!)しっかりと聴かせていただきました。

夢のような1週間から、気づけばもう1ヶ月が経ちます。濃密な1週間のあと、禅さんのピアノの音が聴こえなくなり非常に寂しく感じます。 日常にとらわれて忙しなく過ごしがちな私ですが、禅さんはいつも私の「音楽への情熱」の炎に油を注いでくれます。

この夏に経験したすべてから得たエネルギーと「音へのこだわり」を、私自身の演奏やこれからの指導にも惜しみなく注ぎ込んでいきたいと思います。

Zen Matsuzaki

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No.3「松﨑 禅さんのこと」